「来期、5店舗の新規出店を計画しているが、融資枠が厳しい」
「減価償却費が重く、決算書上の利益が圧迫されている」
「撤退時の処分損と廃棄コストで、赤字が拡大しそうだ」
多店舗展開を目指す飲食経営者にとって、厨房機器への投資(CAPEX)は悩みの種です。1店舗数百万の投資も、10店舗になれば数千万。これをすべて「資産」として抱え込むことは、現代のスピード経営において大きなリスクとなります。そこで今、急成長中のチェーンが取り入れているのが、厨房機器を「資産」にせず「経費」にする財務戦略です。
1. 「オフバランス化」でROA(総資産利益率)を高める

銀行や投資家が企業の稼ぐ力を評価する際、重視するのがROA(利益÷総資産)です。同じ利益を出すなら、分母となる資産は小さいほど優秀とみなされます。
- 購入(オンバランス): 固定資産と負債(借入)が増え、総資産が膨らみます。結果としてROAは低下し、自己資本比率も悪化するため、追加融資のハードルが上がります。
- レンタル(オフバランス): 原則としてBS(貸借対照表)に計上されません。毎月のレンタル料を「賃借料(販管費)」としてPLで処理するだけ。資産を増やさずに売上を作るため、ROAが向上し、銀行格付けにおいて有利に働きます。
2. バックオフィスの「見えないコスト」を削減する

自社所有の機器が増えるほど、管理部門の負担は増大します。レンタルに切り替えることで、以下の「利益を生まない業務」をカットできます。
| 管理項目 | 所有(購入)の場合 | レンタルの場合 |
|---|---|---|
| 会計処理 | 耐用年数ごとの減価償却計算 | 毎月の請求書を処理するだけ |
| 税金・保険 | 償却資産税の申告、動産保険管理 | すべてレンタル会社が負担 |
| 修繕管理 | 業者手配・修理費の都度精算 | 電話一本で無償修理・交換 |
3. 「スクラップ&ビルド」のスピードを最大化する

多店舗展開の成功は、新陳代謝のスピードにかかっています。
- 撤退コストの最小化: 所有機材があると、閉店時に「除却損」が発生し、廃棄コストもかかります。レンタルなら「解約して返却」するだけで、傷が浅いうちに損切りが可能です。
- 出店の即戦力化: 居抜き物件での不足機材をレンタルで補えば、初期投資を抑えて最速オープンが可能。立地が合わなければすぐに機材を返して次へ移動する。この「身軽さ」が最強の武器になります。
まとめ:厨房機器は「所有」する価値があるか?
厨房機器は買った瞬間から価値が下がり続ける「陳腐化資産」です。これを多額のキャッシュで所有するメリットは、現代の経営環境では薄れつつあります。「所有から利用へ」切り替えることで、BSは軽く、キャッシュフローは潤沢になり、次の成長への投資余力が生まれます。
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